【法改正情報】BtoC企業は要注意!!~消費者契約法改正~

1 消費者契約法の改正

明日(令和5年6月1日)から、改正消費者契約法が施行されます。
具体的な改正の内容としては、
 ①契約の取消権を追加(第4条第3項)
 ②解約料の説明の努力義務(第9条第2項)
 ③免責の範囲が不明確な条項の無効(第8条第3項)
 ④事業者の努力義務の拡充
などが挙げられます。
この記事では、
 ③免責の範囲が不明確な条項の無効(第8条第3項)
を取り上げます。

消費者庁HP:https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_system/consumer_contract_act/amendment/2022/

2 事業者の免責条項の無効

消費者契約法では、従来より、事業者が負う責任について、全部の損害賠償責任を負う条項は無効とされていました。
しかしながら、消費者契約法の規制があるのにもかかわらず、利用規約等に次のような条項があることが多かったです。

第●条(免責条項)
 当社は、本契約に基づきお客様に発生した損害について、一切の責任を負いません。

上記のような定めでは、免責条項全体が無効となるリスクがあるため、次のような条項が定められることも多かったです。

第●条(免責条項)
 当社は、本契約に基づきお客様に発生した損害について、法令に反しない限り、一切の損害賠償責任を負いません。

全部免責条項が無効であるにもかかわらず、これらの条項が用いられてきた理由としては、消費者から損害賠償請求を防ぐ目的があったと考えられます。

3 免責範囲不明確条項の無効

しかしながら、明日(令和5年6月1日)から施行される消費者契約法第8条には、第3項として、次のような条文が追加されます。

●消費者契約法(改正後)
第8条(事業者の損害賠償の責任を免除する条項等の無効)
1 略
2 略
3 事業者の債務不履行(当該事業者、その代表者又はその使用する者の故意又は重大な過失によるものを除く。)又は消費者契約における事業者の債務の履行に際してされた当該事業者の不法行為(当該事業者、その代表者又はその使用する者の故意又は重大な過失によるものを除く。)により消費者に生じた損害を賠償する責任の一部を免除する消費者契約の条項であって、当該条項において事業者、その代表者又はその使用する者の重大な過失を除く過失による行為にのみ適用されることを明らかにしていないものは、無効とする。

要するに、条項を読んでみて、重大な過失を除く過失(=軽過失)の場合のみ免責されると明らかではない条項は全部無効となるということです。
いわば、今まで用いられていた「法令に反しない限り」という防衛線を許さない規定になったのです。
そのため、利用規約では、例えば、次のような条項にしておく必要があります。

第●条(免責条項)
 当社は、本契約に基づきお客様に発生した損害について、軽過失の場合は●万円を上限として賠償します。

4 契約書ひな形・利用規約の見直し

自社の契約書のひな形や利用規約をご確認ください。
ざっくりと全部の責任を負わない内容になっていないでしょうか?
その条項、いざというときには役に立ちません!!
いちど、契約書のひな形・利用規約の条項見直しをしてはどうでしょうか?

投稿者プロフィール

弁護士安井 健馬
弁護士安井 健馬
弁護士安井健馬(ウィンクルム法律事務所 兵庫県弁護士会所属)
神戸三宮にある相続・中小企業法務・M&Aに注力した法律事務所で弁護士をしています。

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