【フィクションと法律】大人の思惑(ハリーポッターシリーズより)
4月8日から『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』が公開予定です。
「ファンタスティック・ビースト」シリーズは、
言わずとしれた「ハリー・ポッター」シリーズの続編です。
イギリスの魔法界をマグルの日本法で考察するは、何とも野暮ですが、
ハリーポッターの序盤のシーンについて現行日本法に基づき考えてみましょう。
ハリーは、1歳のときに、父親ジェームズと母親リリーが闇の帝王ヴォルデモートによって殺されてしまいます。
しかし、ハリー自身は、リリーによってかけられた「護りの呪文」により一命を取り留めました。
ダンブルドアがリリーの姉のいるダーズリー家に預け、ハリーは幼少期を生活していきます。
けれども、ダーズリー家での生活はひどいもので、階段下の物置部屋に押し込まれ、虐待同様の扱いを強いられてしまいます…
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さて、物語の序盤、ハリー・ポッター登場の場面、
現行日本法で考えるとどのようになるのでしょうか(あるいはどうすべきなのでしょうか。)。
日本法において、20歳(令和4年4月1日からは18歳)になるまでの未成年者は、
法定代理人の同意がなければ、確定的に契約や取引をすることができません(民法5条1項)。
そのため、両親を亡くしたハリーには、未成年後見人の選任がされることが想定されます(民法840条)。
魔法使いたち、特にダンブルドアの思惑や「護りの呪文」の関係もあって、
ダーズリー家に預けられたのでしょうが、
未成年者でありながら、父母の莫大な財産を引き継いだハリーには、
未成年者後見人を選任するのが適切です。
特に、グリンゴッツ銀行に残されたジェームズとリリーの莫大な遺産の預金?名義の変更手続をするためにも、
未成年者後見人がハリーを代理して手続を行う必要があります。
「賢者の石」のワンシーンの裏側では、未成年者後見人が粛々と手続をしていたのでしょうか…
さらに、ハリーは、ダーズリー家で「虐待」ともいうべき仕打ちにあっていますので、
「要保護児童」として保護されることとなるでしょう(児童福祉法25条以下)。
ハリーは「闇の帝王」を打ち破る力を秘めた子であり、
特別な存在であるとダンブルドアは考えていたのでしょうが、
まずはハリー自身の生活状況を整えてから、魔法界で活躍してもらうべきであったのでしょう。
投稿者プロフィール
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弁護士安井健馬(ウィンクルム法律事務所 兵庫県弁護士会所属)
神戸三宮にある相続・中小企業法務・M&Aに注力した法律事務所で弁護士をしています。
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