【知的財産】スシローペロペロ事件から考える知財戦略
弁護士の安井です。
連日ワイドショーを賑わしている大手回転ずしチェーン店「スシロー」における迷惑行為動画。
威力業務妨害罪にあたるのではないか?
企業価値の減少による損害額は莫大ではないか?
法的な観点からは、いろいろと着目できる視点があります。
しかし、今回は、あえて「知的財産権」という切り口から見てみましょう。
不特定多数の顧客を対象とする飲食店ですから、一定数の迷惑な客を想定する必要はあるでしょう。
そこで、1つの対策としてくら寿司のように「回転する皿に透明なフタをつける」という対策もできるはずです。
ところが、スシローは、フタをつける方策を取らずに、当面、回転レーンで提供する寿司を注文品に限定するという対策をとると報道されています(日経2023/2/3記事)。
スシローは、くら寿司と同じような対策を取れなかったのでしょうか?
実は、回転ずしのお皿に透明なフタを付けるというのは、既に、くら寿司株式会社が、特許を登録しています。
くら寿司の「収容体」の特許→HP:https://www.j-platpat.inpit.go.jp/p0200
特許は、公開されるので、特許情報プラットフォームで簡単に検索できます。
特許情報を見ると、ポイントは、フタ(「収容体」と表現されています。)に触れることなく、お皿を押せば、フタが開く点にあるようです。
もし、スシローが同じようなフタを設置した場合、くら寿司の特許権を侵害するリスクがあります。
反対に、くら寿司が、特許を取得していなければ、スシローにマネをされ、競争優位を確保できなかったかもしれません。
スシローが、上記のような対応を取った理由には、他の諸要素もあるかもしれません。
ただ、「知的財産権」を有することが、企業価値を増進・維持するために、必要不可欠であることを示す好例ではないかと私は思います。
投稿者プロフィール
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弁護士安井健馬(ウィンクルム法律事務所 兵庫県弁護士会所属)
神戸三宮にある相続・中小企業法務・M&Aに注力した法律事務所で弁護士をしています。
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