株式と相続について、教えてください。

Q.私は、中小企業のオーナー社長です。会社で専務をしている長男に自社株式を相続させて承継させようと考えていますが、長男は、次男、三男と仲が悪く、相続対策に悩んでいます。遺留分の問題も気になります。どのような対策が効果的でしょうか?

 

A.長男に自社株式を相続させて承継させる方法として、以下の対策が効果的です。

 

(1)遺言を作成しましょう

遺言がない場合、相続の開始によって、被相続人の財産に属した一切の権利義務が相続人に承継されます(民法896条)、相続人が複数存在すれば、相続財産はこれらの者の間で共有状態となります(898条1項)。株式についても準共有となり、特定の相続人に単独で取得させるには、遺産分割を行わなければなりません。

他方で、遺言がある場合、遺言が有効であれば、遺言の記載通りに株式を相続させることが可能です。推定相続人である長男・次男・三男の仲が悪い場合、遺産分割の協議が整わず、長男が株式を単独で取得できない可能性があります。そのため、長男に自社株式を相続させて承継させたい場合、長男に自社株式を相続させる旨の遺言を作成しておくべきです。

 

(2)遺留分に対する対策(除外合意・固定合意)

遺言によって株式を相続させた場合であっても、他の相続人が遺留分侵害額請求権(1046条)を行使し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを求められる可能性があります。

遺言により株式を相続させる場合、株価が大きいと、遺留分の金額が大きくなるリスクがあります。また、株式を生前贈与したとしても、遺留分算定の基礎財産に組み入れる可能性もあります。さらに、会社の株価は、流動的なので、遺留分の価格が予測できないというリスクもあります。

そこで、経営承継円滑化法に基づく民法の特例の活用が考えられます。遺留分算定の基礎財産から株式を除外する「除外合意」や遺留分算定の際の価格を固定する「固定合意」という制度があります。

除外合意や固定合意には、家庭裁判所の審判が必要です。活用したい場合には、弁護士や税理士に相談しましょう。

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弁護士法人ウィンクルム法律事務所
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